逸失利益がもらえない理由と対策|事例や弁護士への相談方法も解説

逸失利益がもらえない理由について、詳しい原因や対策を解説します。不安を抱える方々に向けて、具体的な事例や有益なアドバイスも紹介します。

目次

逸失利益とは何か?

逸失利益の基本概念

逸失利益とは、事故や事件、医療ミスなどによって将来得られるはずだった収入が得られなくなった場合に、その損害を補償するために認められる損害賠償金の一項目です。つまり、被害者は、事故などがなかった場合に得られていたであろう収入を、加害者に対して請求することができます。この概念は、被害者が受けた不利益を可能な限り回復し、元の生活に近づけることを目的とした損害賠償の原則に基づいています。

逸失利益の計算方法

逸失利益の計算は、複雑で、様々な要素を考慮する必要があります。基本的には、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間」という計算式を用います。基礎収入は、事故前の収入を基に算定し、労働能力喪失率は、後遺障害の程度に応じて定められています。労働能力喪失期間は、原則として、被害者が平均余命に達するまでの期間となります。例えば、会社員が交通事故で怪我を負い、後遺症により労働能力が30%低下した場合、逸失利益は、事故前の収入を基に算定された基礎収入に、30%の労働能力喪失率と、平均余命までの期間を乗じて算出されます。

ただし、就労状況や年齢、将来の見通しなど、個々のケースによって計算方法は異なってきます。例えば、主婦や学生、無職者であっても、家事労働の評価や将来の就職可能性などを考慮して逸失利益が認められることがあります。主婦の場合、家事労働を経済的に評価し、事故がなければ家事労働に従事することで得られたであろう収入を算定します。学生の場合は、将来の就職可能性や、事故がなければ得られたであろう学歴などを考慮して逸失利益を計算します。

逸失利益がもらえない理由とは?

後遺障害等級認定を受けていない場合

逸失利益を請求するためには、原則として、交通事故や傷害事件などによって何らかの後遺障害を負ったことが認められる必要があります。後遺障害の程度は、後遺障害等級によって判断されますが、この等級認定を受けていない場合、逸失利益は認められません。認定を受けるためには、適切な手続きを踏むことが重要です。具体的には、医師の診断書や、事故当時の状況、症状の経過などを詳細にまとめた書類などを提出する必要があります。場合によっては、専門医の意見書なども必要となる場合があります。

収入が減っていない場合

事故後も、以前と同様の収入を得ている場合には、逸失利益が認められないことがあります。これは、事故によって収入が減少していないため、将来得られるはずだった収入が失われたと認められないためです。ただし、事故の影響で昇進や転職の機会を失ったなどの事情がある場合には、逸失利益が認められる可能性があります。このような場合には、証拠を集めて主張していくことが重要です。例えば、昇進の確約を得ていた証拠や、転職活動を行っていた証拠などを提出することで、逸失利益が認められる可能性が高まります。

労働能力の低下が認められない場合

事故による怪我や後遺症によって労働能力が低下したことが認められない場合、逸失利益を請求することはできません。労働能力の低下を証明するためには、医師の診断書や、仕事内容や労働時間などを具体的に説明する資料などが必要となります。また、職場の上司や同僚からの証言なども有効な証拠となることがあります。これらの証拠を提出することで、事故と労働能力の低下との因果関係を明確に示すことが重要となります。

事故が原因でないと判断された場合

逸失利益は、あくまでも事故が原因で将来の収入が得られなくなった場合に認められるものです。そのため、事故と収入減少との間に因果関係がないと判断された場合には、逸失利益は認められません。例えば、持病の悪化や別の病気、加齢などが原因で収入が減少した場合には、事故との因果関係が認められないため、逸失利益は認められません。このような場合には、他の制度を利用して収入を補填する必要がある場合があります。

逸失利益をもらうための対策

適切な後遺障害等級認定を受ける

逸失利益を請求するためには、適切な後遺障害等級認定を受けることが非常に重要です。等級認定を受けるためには、医師の診断書や、事故当時の状況、症状の経過などを詳細にまとめた書類などを提出する必要があります。場合によっては、専門医の意見書なども必要となります。後遺障害等級は、症状の程度や日常生活への影響などを総合的に判断して決定されます。そのため、医師との面談時に、症状や日常生活での支障などを具体的に伝えることが重要です。

事故の影響を証明する

逸失利益を請求するためには、事故と収入減少との因果関係を明確に証明する必要があります。そのためには、事故後の通院記録やリハビリテーションの記録、服薬状況などを示す書類などを提出します。また、事故の影響で仕事に支障が出ていることを証明するために、日常生活の記録や職場からの証言なども有効です。具体的には、事故によって集中力が低下したり、体力が低下したりした結果、仕事のパフォーマンスが低下したことを示す証拠を提出します。

専門家に相談する

逸失利益の請求は、専門的な知識が必要となるため、交通事故に詳しい弁護士や専門家に相談することが重要です。専門家は、適切なアドバイスやサポートを提供することで、逸失利益の獲得を支援します。具体的には、適切な後遺障害等級認定を受けるためのアドバイスや、必要な証拠の収集、保険会社との交渉などをサポートしてくれます。また、訴訟が必要な場合には、代理人として手続きを代行してくれることもあります。

実際の事例から学ぶ

無職でも逸失利益を獲得した例

事故当時無職だった主婦が、事故による後遺症で家事が困難になったとして、逸失利益を請求した事例があります。このケースでは、主婦の家事労働を経済的に評価し、将来にわたって家事労働に従事できなくなった損害として、逸失利益が認められました。具体的には、家事代行サービスの費用などを参考に、主婦の家事労働を経済的に評価し、逸失利益の算定根拠としました。この事例は、主婦であっても、家事労働という経済的な価値を生み出していることを認め、逸失利益を請求できることを示す重要な判例となりました。

学生が逸失利益を獲得した例

事故で後遺障害を負った学生が、将来の就職活動や収入に影響が出ると主張し、逸失利益を請求した事例があります。このケースでは、学生の年齢や学歴、事故前の成績などを考慮し、将来得られるであろう収入を算定して、逸失利益が認められました。具体的には、同程度の学歴や年齢の人の平均収入などを参考に、将来得られるであろう収入を算定し、逸失利益を請求しました。この事例は、学生であっても、将来の収入を得る権利を有しており、逸失利益を請求できることを示す重要な判例となりました。

高齢者が逸失利益を獲得した例

高齢者であっても、事故前にはパートタイムなどで働いており、収入を得ていた場合には、逸失利益が認められます。この場合、逸失利益は、平均余命ではなく、事故前の就労状況などを考慮して、実際に収入を得ることができたであろう期間について計算されます。例えば、70歳の方が事故に遭い、後遺症が残った場合でも、事故前にパートタイムで働いており、今後も働く意思があった場合には、逸失利益が認められます。この場合、逸失利益は、70歳の方の平均余命ではなく、パートタイムで働き続けることができたであろう期間について計算されます。

逸失利益が認められなかった場合の対処法

弁護士に相談する

逸失利益が認められない場合でも、諦めずに、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、これまでの判例や法律に基づいて、状況を分析し、最適な解決策を提示してくれます。また、交渉や訴訟などの手続きを代理で行ってくれるため、安心して手続きを進めることができます。弁護士に相談することで、逸失利益が認められなかった理由を明確化し、新たな証拠の提出や、主張の変更など、状況を打開するための方法を検討することができます。

必要な証拠を収集する

逸失利益を認められるためには、事故と収入減少との因果関係を証明するための証拠が不可欠です。そのため、収入証明書や給与明細、源泉徴収票などを収集します。また、医師の診断書や後遺障害等級認定の書類なども重要な証拠となります。その他にも、事故の影響で仕事に支障が出ていることを示すために、職場の上司や同僚からの証言なども有効な証拠となります。これらの証拠を収集することで、逸失利益が認められる可能性を高めることができます。

交渉を続ける

逸失利益が認められない場合でも、諦めずに、保険会社などと交渉を続けることが大切です。交渉を通じて、当初の提示額よりも増額されるケースや、他の損害項目との調整によって、最終的に納得のいく金額で示談が成立する可能性もあります。交渉の際には、弁護士などの専門家に同席してもらい、アドバイスを受けながら進めることをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、より有利な条件で示談を成立させることができる可能性が高まります。

まとめ|逸失利益をもらえない理由を克服する方法

逸失利益は、交通事故や労働災害などの被害者が、将来にわたって収入を得られなくなる損害を補償する重要な制度です。逸失利益が認められない場合でも、諦めずに、弁護士に相談するなど、適切な対策を講じることで、状況を改善できる可能性があります。逸失利益の請求は、専門的な知識が必要となるため、一人で悩まずに、まずは専門家に相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、適切な手続きを進め、逸失利益を獲得できる可能性が高まります。

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